エンジンオイルが空で走行したらどうなる？焼き付きについても解説！

既定量のエンジンオイルを入れることは車を正常に稼働させる上で必須条件ですが、オイル漏れなどのトラブルがあると、エンジンオイルの量が大きく減少します。極端なケースですが、もしも、エンジンオイルが空になってしまった場合に走行を続けると何が起きるのでしょうか。
このコラムでは、エンジンオイルが空の状態で走行すると車に何が起こるか解説します。また、焼き付きという不具合の判断方法や対処法、エンジンオイルが劣化する原因などについてもお伝えします。

---

車から異音がする

　　　　　

車から異音がする場合は注意が必要です。特にエンジンから金属の擦れる音やぶつかるような音が聞こえる場合には焼き付きの可能性があります。エンジン内部で部品同士がぶつかり、こうした異音を発生させていることが考えられるためです。エンジンの異音は焼き付きのほかにも、エンジンのファンベルトの劣化、冷却水不足、ウォーターポンプのベアリングの損傷などの可能性もありますので、早急にお店で車の点検もしくは修理を依頼してください。

---

車が焦げた臭いがする

　　　　

エンジンが焼き付くと焦げた臭いがしてくることがあります。エンジンの近くで臭いを確認してみましょう。車内でも焦げる異臭を感じる場合、事態は深刻な可能性が高いので、早急にお店へ点検、修理を依頼される事をおすすめします。

---

エンジンの急停止が起こる

　　　　

エンジンが焼き付くと急停止することがあります。エンジンの急停止にはさまざまな要因が考えられますが、焼き付きの可能性も疑う必要があります。他のエンジン停止の原因としては、点火プラグが発火しないなどの電気系の不具合、燃料ポンプの故障などが挙げられます。エンジンに関わるトラブルは安全な走行にも大きく影響します。ご自身で解決できない問題の場合はお近くのお店に相談してください。

---

軽度では修理できる場合も

　　　　

エンジン焼き付きの程度によっては、修理できる場合もあります。ただし、一部の部品交換だけであってもエンジンの修理代は非常に高くなるので、状況によってはエンジン交換を行った方が良い場合もあります。

---

重度ではエンジン交換やオーバーホールが必要

　　　　

エンジンの焼き付きが重症で、簡易的な修理が不可能な場合はエンジン交換やオーバーホールを行います。エンジン交換の場合、修理費用が高額になる可能性があります。

---

エンジンオイルの劣化

　　　　

エンジン焼き付きの原因として、まずエンジンオイルの劣化が挙げられます。エンジンオイルにはエンジン内部の金属パーツの摩擦を潤滑する役割がありますが、エンジンオイルの劣化が進行すると、エンジン内部を十分に潤滑できなくなります。そうなると、摩擦熱によってエンジンの温度が上昇し、エンジンの焼き付きに繋がります。

---

エンジンオイルの詰まり

　　　　

エンジンオイルの詰まりでもエンジンの焼き付きが発生します。エンジンオイルは本来、エンジン各部を循環して熱を吸収し、オイルパンに戻って冷却されます。しかし、エンジンオイルが詰まると、本来の冷却作用が果たせず、エンジン内部の温度が上昇して、焼き付きのリスクが高まります。

---

汚れによる劣化

エンジン内部にはカーボンやスラッジなどの汚れが溜まります。この汚れをそのままにしていると、エンジンの性能を低下させてしまいます。そこで、重要な役割を果たしているのがエンジンオイルです。エンジンオイルが持つ清浄作用により、こうしたエンジンの汚れを吸収し、分散します。しかし、エンジンオイルが汚れを取り込める量には限界があるため、次第にこれらの汚れが原因でエンジンオイルは劣化していきます。エンジンオイルが黒く汚れていくことは汚れを吸収し、劣化が進んでいる可能性が高くなります。

---

乳化による劣化

　　　　

乳化とは水と油のように本来は分離していて、混じり合わない液体同士が混じり合うことを言います。長期間エンジンを稼働させないと、エンジンオイルは大気中の水分を取り込み、乳化する恐れがあります。また、冬の結露やエンジンが温まりきらない短距離走行を繰り返すことでも乳化の危険性が高まります。エンジンオイルに乳化が起こると潤滑作用が弱まり、本来の機能を果たすことができません。車を使っていなくてもエンジンオイルは劣化する可能性があるということを覚えておきましょう。

---

酸化による劣化

　　　　

エンジンオイルは空気に触れると酸化します。急激に酸化が進行するわけではありませんが、未使用のエンジンオイルでも開封すると少しずつ酸化します。それは、車の使用頻度が低い場合でも同様です。空気にエンジンオイルが全く触れない状態を作り出すのは困難なので、エンジンオイルを使用している限りは酸化の回避が難しいものです。エンジンオイルの酸化が進むと、粘度が柔らかくサラサラになり、油膜切れが起きやすくなります。

---

せん断による劣化

　　　　

エンジンオイルにはさまざまな成分が含まれていますが、その中に含まれているポリマーと呼ばれる物質は、物理的な圧力を受けることで分子が細かくなります。このように分子が細かくなってしまうことをせん断と呼びます。
ポリマーはエンジンオイルの粘度を安定させるために使われているため、このポリマーがエンジンの衝撃などでせん断を起こすとエンジンオイルの粘度が柔らかくなってしまいます。
エンジンオイルは激しく動いているエンジンの回転部や摺動部を潤滑しているため、せん断の影響を避けるのは困難です。車によく乗る人ほど、エンジンオイルはせん断で劣化する可能性が高まっていると認識してください。

---

ブローバイガスによる劣化

　　　　

ブローバイガスとは、エンジンの燃焼室内で発生した未燃焼のガスがマフラーから排出されずに、クランクケース内に漏れ出したものを指します。そして、エンジンのクランクケース内は、ブローバイガスとエンジンオイルが混在します。ブローバイガスには、ガソリンやスス、水分、汚れなどが含まれており、エンジンオイルを黒く汚す原因になるうえ、潤滑不良を引き起こします。

---

---