エンジンオイルはなぜ劣化する？劣化したまま使い続ける危険性も解説

車を日常的に使用し続けていると、エンジンオイルは劣化していきます。車を良好な状態にキープし続けるためには、定期的なエンジンオイル交換が必要となります。
このコラムでは、エンジンオイルの劣化やそれに伴う不具合について解説していきます。また、劣化が進行するシビアコンディションやエンジンオイルの他に劣化が懸念されるオイルについてもご紹介します。

熱による劣化

　　　　

エンジンオイルは油温が80～100℃という状況下で最適な性能を発揮するように作られています。しかし、実際のエンジンオイルの使用環境では、走行する地域や乗り方によって油温も変動します。例えば、長時間の渋滞や激しいスポーツ走行が多い乗り方をすると、エンジンオイルの油温が上昇するため、劣化しやすくなります。

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水分混入による劣化

　　　　

エンジンオイルに水分が混入するのも劣化の原因になります。エンジンオイルと水分が混ざると乳化と呼ばれる現象が起きて白く濁った液体の塊ができてしまいます。
水分が混入する代表的な原因として、短距離での走行を繰り返すことが挙げられます。短距離走行ではエンジンオイルの温度が上がりきらないため、大気中の水分が蒸発せずにエンジンオイルに取り込まれてしまうためです。また、冬場にエンジン内部に発生する結露にも注意が必要です。結露がオイルパンの底に溜まるとエンジンオイルが乳化するリスクが高まります。

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酸化による劣化

　　　　

エンジンオイルは走行の有無に関わらず、空気に触れると少しずつ酸化し、エンジンオイルの粘度を柔らかくしてしまいます。また、使用していないエンジンオイルであっても、商品を一度開封している場合は空気が混入し、酸化が進んでしまいます。

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せん断による劣化

　　　　

せん断とは、物体や流体の内部の任意の面に対して平行方向に力が作用することを指します。エンジンオイルは、エンジン内部の金属同士が摺れる箇所に入り込んで摩擦を減らす働きをしているため、せん断の力を受けます。エンジンオイルは耐久に優れるように調合されていますが、せん断を受け続けると、エンジンオイルに含まれるポリマーという成分がダメージを受け、エンジンオイルの粘度を柔らかくし、油膜が形成されにくくなります。

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ブローバイガスによる劣化

　　　　

エンジンが圧縮や燃焼を行う際に、シリンダーとピストンの隙間から漏れるガスのことをブローバイガスと言います。主に未燃焼燃料や燃焼ガス、エンジンオイルのミスト成分によって構成されており、このブローバイガスがエンジンオイルに混入すると劣化が加速してしまいます。ブローバイガスの混入を完全に防ぐことは困難なため、エンジンオイルを定期的に交換することで対処する必要があります。

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スラッジによる劣化

　　　　

スラッジとは、エンジン内部の燃料の燃えカスを指します。カーボンスラッジとも呼ばれ、エンジンオイルに滞留してオイルフィルターで濾過されます。しかし、エンジンオイルやオイルフィルターを交換せずにいると、スラッジが蓄積し、エンジンオイルが汚れ、劣化を招きます。エンジンオイルが黒く汚れ、ザラザラしていたらスラッジによる劣化が進んでいる可能性が高いため、エンジンオイル交換を実施する必要があります。

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燃費が悪くなる

　　　　

エンジンオイルはエンジン内部を循環し、潤滑・冷却・密閉・防錆・清浄という5つの作用によってエンジンのコンディションを保つ役割を担っています。エンジンオイルが劣化すると、そうした働きができなくなるため、エンジンも本来の性能を発揮できず、車の燃費も悪くなる可能性があります。

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エンジンの部品が摩耗する

　　　　

エンジン部品は高速で回転運動や往復運動をしており、大きなエネルギーを発生させています。そのため、エンジンオイルが劣化して粘度が柔らかくなると抵抗を軽減できず、部品同士が滑らかに動かなくなり、互いに摩耗したり、異音や振動が生じやすくなったりします。

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エンジンが焼き付く

　　　　

エンジンオイルの劣化により、潤滑効果が薄れてエンジン部品の摩耗が進行すると、焼き付きが発生する恐れがあります。焼き付きとは、シリンダーとピストンが癒着してしまい、回転が停止したり、傷が入ったりしてしまう現象です。
エンジンが焼き付くと修理も大掛かりで費用も高額となります。エンジンを丸ごと交換する必要が出てくるケースも珍しくないため、修理・交換の費用によっては車を買い替えた方が安く済む場合もあります。

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ミッションオイル・デフオイル

　　　　　

ミッションオイルとは、トランスミッションのギアを潤滑させるためのオイルで、ギアオイルとも呼ばれます。そして、ディファレンシャルギアに使用されるオイルがデフオイルです。どちらも車には欠かせないオイルであり、車の使用に応じて劣化が進みます。
長期間交換せずに使っていると、ギアがうまく潤滑されなくなり、摩耗する恐れがあります。快適な運転を維持するためには、ミッションオイルやデフオイルの交換も大切です。

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ATF（オートマチックトランスミッションフルード）・CVTF（コンティニュアスリーバリアブルトランスミッションフルード）

　　　　　

ATF（オートマチックトランスミッションフルード）はAT車、CVTF（コンティニュアスリーバリアブルトランスミッションフルード）はCVT車の各トランスミッションに欠かせないオイルです。部品の潤滑・トランスミッションの冷却・動力の伝達・シフト制御・トランスミッションの清浄など、幅広い役割を担っています。
ATFはギアの磨耗などによって汚れますが、その汚れはトランスミッション内に固着していることが多いため、多くの汚れを蓄積させる前にATFの交換も実施しておくと安全です。
また、CVT車のスムーズな加速を維持するためには滑車とベルトの潤滑が重要です。CVTFの劣化によって燃費の悪化や変速ショックが大きくなる前に交換を実施しておきましょう。

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パワーステアリングフルード

　　　　　

パワーステアリングフルードは、ハンドル操作を油圧でサポートするために必要なオイルです。パワーステアリングフルードもハンドル操作の際に発生する熱などが原因で汚れ、徐々に劣化します。劣化が進行すると、ハンドル操作が重くなったり、異音が発生したりする原因になります。
また、パワーステアリングフルードの劣化は、オイル経路の詰まりやオイル漏れにも繋がるので注意が必要です。特にスポーツ走行をされる方はこまめなメンテナンスを心がける必要があります。

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ブレーキフルード

　　　　　

ブレーキフルードとは、ブレーキに用いられるオイルで、ブレーキペダルを踏んだ際の操作力を伝達する役割があります。ブレーキフルードが減少したり、劣化したりするとブレーキが利かなくなるなど、安全に関わる重大なトラブルに繋がります。そのため、ブレーキフルードのケアは重要なメンテナンスです。
ブレーキフルードは新品の状態だと透明に近い薄い黄色をしていますが、劣化し始めると薄い黄色から茶色、そして茶褐色に変色します。

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