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今だから聞きたいオイル交換の基礎知識
車の点検でオートマオイル漏れが発生していると判明した場合、修理費用の相場はどれくらいか、気になる方が多数おられるかと思います。このコラムでは、オートマオイル漏れが発生するおもな要因と、修理費用の相場を解説します。また、国産車に多く用いられているCVTのメンテナンス方法も合わせて紹介しているので、トランスミッションの点検・修理を検討しておられる方はぜひ参考にしてみてください。
目次
オートマオイル漏れが発生した場合、トランスミッション本体を交換するのであれば数十万円の費用がかかります。一部パーツを交換するのであれば交換工賃とパーツ代、および油脂代が必要ですが、交換するパーツの種類やオートマオイルの種類、使用量に応じて修理費用は異なってきます。また、大型車はオートマオイルの必要量や点検箇所などが多くなる分、修理費用が高額になる傾向があります。
トランスミッションはエンジンの動力制御を担っているパーツです。AT車では、トルクコンバーターから送られる動力をオートマオイルが伝達することで車の加減速が行われています。
トランスミッションは常に気密性が維持されるようになっていますが、パーツの故障や締め付け不足などがあると気密性が損なわれてオートマオイル漏れが起きてしまいます。ここからは、オートマオイル漏れが発生するおもな原因に関して解説します。
トランスミッションはオイルシールによって気密性が維持されています。しかし、時間経過によってオイルシールが古くなって劣化したり、他のパーツが当たって損傷を受けたりした場合、オートマオイル漏れが発生する原因になります。
オイルシールの損傷度合いによっては、添加剤を用いることで状態が改善するケースがありますが、添加剤を使用しても改善しない場合はオイルシールが大きく損傷している、あるいはオイルシール以外の原因でオートマオイル漏れを起こしていることが考えられます。
トランスミッションとラジエーターを接続するオイルホースが破損、あるいはジョイント部分の固定が緩んでいる場合、オートマオイル漏れが発生することがあります。
トランスミッション用のオイルクーラーには水冷式を採用している車が多く、オイルホース本体をホースクランプというジョイントで固定する構造が一般的です。そして、オイルホース交換を行う際には、クランプの着脱や古いホースの切断などを行うプロセスがあり、締め忘れがないよう正しい手順で作業を行う必要があります。ご自身で交換作業を行う場合は、オイルホースの取扱いやジョイントの締め忘れなどには十分注意してください。
オートマオイルは停車時にはオイルパンに集積されており、オイルパンはパッキンによってシールされています。パッキンはガスケットとも呼ばれ、AT車では液体ガスケットが用いられている場合が多いです。液体ガスケットは時間経過やオートマオイルの熱などによって接着力が少しずつ低下し、そのまま放置しておくと最終的には破断してしまいます。液体ガスケットが変形・破損した場合、オイルパンからオートマオイルが漏れ出す状態になるので、なるべく早い段階で修理対応が必要です。
実際にオートマオイル漏れが発生した際には、故障原因を確認したうえで適切な修理対応を行う必要があります。ここからは、故障原因ごとに適した修理方法を解説します。
前述したとおり、トルクコンバーターやオイルホースの接続部分、あるいはドレンボルトなどに緩みがあると、オートマオイル漏れが発生することがあります。ドレンボルトは車体下部のオイルパンに付属しており、オイルパンの気密性を維持する役割を担っているパーツです。
各パーツの緩みが原因となっている場合、オートマオイルの点検・補充、および緩んでいる箇所の締め直しが必要になり、ドレンボルトやトルコンボルトを締め直す際にはそれぞれ専用の工具を使用する必要があります。
車から油の焼けるような臭いがしたり、車体底面に油分が染み出ていたりするのであれば、オートマオイル漏れが発生していることが考えられます。点検を行う際には、車体下部にあるオイルシール、およびドレンボルト周辺に油分が染み出ていないかを確認してください。オートマオイルは赤や緑などで着色されている製品が多く、硫黄臭がするので、車に使用されているオイル類のなかでは見分けやすいオイルです。
オートマオイル漏れの原因がオイルシールの劣化であった場合は交換作業を行います。実際にオイルシール交換を行う際には、オイルチェンジャーを用いてオートマオイルを抜き取ってから交換作業を開始してください。
トランスミッションの摩耗は走行環境によって異なりますが、急ブレーキや急発進などを頻繁に行うとエンジンに負担が掛かり、通常よりも早く摩耗してしまいます。
また、オートマオイル交換で対処できないトラブルである場合、トランスミッションの全交換が必要です。具体的な費用は車によって異なりますが、トランスミッションをまるごと交換する際には高額な修理コストがかかります。
CVTFは、CVT車に用いられているフルードです。滑車とベルトを油圧で作動させたり、潤滑作用によって焼き付きを防止したりするなどの作用を備えています。
CVTFは基本的にメンテナンス不要としている自動車メーカーもありますが、走行環境や車の使用期間によってはパーツが摩耗し、CVTFが漏出するケースがあります。とくに多走行車や年式が古い車などはCVT本体が摩耗していることが多いので、定期的なメンテナンスが不可欠です。CVTFはさまざまな添加剤を使用することで、潤滑作用やオイルシールの保護作用などが長期間維持されるようになっています。しかし、シビアコンディションで車を使用し続けていたり、走行距離が増加したりすることで添加剤やベースオイルが酸化すると、CVTF漏れが発生する恐れがあります。そして、CVTは複雑な構造をした変速機であり、もしも故障した場合は高額な修理コストが必要です。
CVTF漏れが発生した車は燃費低下やエンジンの空回りなど、さまざまな不具合が生じることがあります。ここからは、CVTF漏れが発生した際に車へどういった不具合が生じるかを解説します。
CVTFは滑車やベルトの潤滑を行うほか、油圧によってバルブや滑車、ベルトなどの制御を行う作用も備えています。CVTF漏れによって油圧が低下した場合、トランスミッションをドライブモードに変えてアクセルを踏んでも車が動かなくなることがあります。
CVTが動かなくなる兆候として、加速が遅くなったり、燃費が低下したりするなどの不具合が発生することがあります。これらの症状がみられた場合は、早急にメンテナンスするようにしてください。
発進時や減速時に車のハンドルが振動することを、ジャダー現象といいます。この現象はCVTF漏れによって油圧が低下していたり、滑車やベルトが損傷していたりする場合にも発生しやすい現象です。
ジャダー現象が発生すると、ハンドルが大きく揺れる、振動音が鳴るといった現象がみられます。ハンドルが振動すると車が制御しづらくなり、予期せぬトラブルを引き起こすリスクがあります。
CVT車はスチール製のベルトやチェーンが回ることで稼働しているので、新車に近い状態でも独特な摩擦音が鳴ります。しかし、エンジン始動時や加減速をした際にモーターのような音が鳴る場合は、CVTFが十分に供給されていないことを示している可能性があります。これはCVTF漏れが発生している状況では潤滑作用が弱まり、滑車とベルトなどが直接擦れることで大きな異音が発生してしまうためです。
とくに走行距離の増加に伴って異音も大きくなっている場合は、CVTF漏れによってフルードが不足していることが考えられます。異音が発生している状態でエンジンを動かし続けていると、ベルトやチェーンなどが破損して動作不良を起こす可能性があります。
アクセルを踏んでから加速までに時間がかかる現象をスリップ、あるいは滑りといいます。エンジンの動力がタイヤへ正しく伝達されていない場合にスリップが発生しやすく、燃費や加速性能などが低下してしまいます。
スリップが発生しているCVT車は、アクセルを踏んだ際にエンジン回転数のみが上がり、速度が上がらない状態になります。そして、CVTFが大きく不足していると、上り坂や高速道路などで充分に加速することが難しくなります。
トランスミッションの点検・修理をスムーズに行いたい方は、経験豊富なスタッフが在籍するイエローハットにお任せください。
イエローハットでのオートマオイル・CVTF交換の作業時間は10分程です。
オートマオイル・CVTF漏れはオイルシールやドレンボルトの損傷が原因になることが多く、修理には高額なコストがかかります。しかし、オートマオイル・CVTFの定期的な交換でトラブルを回避できるうえに、走行性能を良好に保つことができます。
オートマオイル・CVTFの点検・交換をスムーズに行いたい方は、イエローハットまでぜひご相談ください。