エンジンオイルの適正温度とは？エンジンの冷却方式も解説

エンジンは温度が上がりすぎると、焼き付きや破損といったトラブルを起こすリスクがあります。そのため、エンジンオイルの冷却作用によってエンジンコンディションを保っていますが、冷却作用を正しく発揮するには、適切な温度管理を行うことが大切です。このコラムでは、エンジンオイルの温度管理を行う方法や必要性についてご紹介します。

エンジンオイルの適正温度

　　　　

エンジンオイルの適正温度は90℃前後です。しかし、実際には走行環境や車の年式などによっては90℃前後の維持が困難なこともあるため、エンジンオイルメーカーは120℃程度までは品質を維持できるように製造している場合が多いです。

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温度の上がりすぎによって生じる問題

　　　　

新しいエンジンオイルは透明度が高く、適度な粘り気があります。粘度が硬いほど潤滑作用が発揮されやすく、油膜によって金属パーツの摩擦抵抗を軽減できるようになっています。
しかし、熱や汚れなどでエンジンオイルが劣化すると粘度が柔らかくなり、潤滑作用が弱くなります。油膜切れによってピストンの摩擦が大きくなればエンジンが故障、あるいはピストンやギアなどが破損するリスクが高まるため、エンジンオイルの点検・交換は適切なタイミングで行うことが大切です。
走行環境や使用年数によっても異なりますが、イエローハットがおすすめするエンジンオイル交換時期の目安は、走行距離3,000km~5,000km毎もしくは3ヶ月~6ヶ月のどちらか早い方です。

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エンジンオイルの温度が上がりすぎる原因

　　　　

油温はエンジン冷却水の温度と相関関係にあります。通常、車はエンジン内にあるウォーターポンプで冷却水を循環させることで、エンジン内部の温度が上がりすぎないよう管理しています。しかし、エンジン冷却水不足や、冷却システムの故障によって水温が上がりすぎてしまうと、油温も上がってしまうのです。
冷却システムの故障には冷却ファンやウォーターポンプ、エンジン冷却水を調整するサーモスタットの故障などさまざまな要因が考えられるため、ご自身で原因を特定するのは困難です。アイドリングで水温計がHマーク以下で、エンジン冷却水が適量あるにも関わらず油温が高い場合は、すみやかにお店にメンテナンスを依頼してください。

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ベースオイルを変える

　　　　

エンジンオイルに使用するベースオイルは、全合成油・部分合成油・鉱物油の3種類に大きく分けられます。

　　　　

・全合成油
最高品質のベースオイルで、優れた耐熱性や低温始動性などを備えていることが特徴です。ターボ搭載車やレーシングカーなどに適した性能を備えたベースオイルなので、耐熱性を重視する場合は全合成油を使用することをおすすめします。

　　　　

・鉱物油
リーズナブルなのでメンテナンスコストを抑えられるメリットがある一方、耐熱性や耐酸性などは低めです。低コストで車を維持したい場合や、小まめに交換を行う場合は鉱物油が適しています。

　　　　

・部分合成油
鉱物油と全合成油を配合したベースオイルで、耐熱性や耐酸性は3種類あるベースオイルの中で平均程度です。配合比率や性能の高さなどは製品によって異なり、バラエティーに富んだ商品展開がなされています。

　　　　

なお、自動車メーカーによって指定するエンジンオイルの粘度や種類は異なり、車に合わないエンジンオイルを使用するとエンジンの故障を招く恐れもあります。エンジンオイル交換を実施する際は、事前に車の取扱説明書を確認しておきましょう。ご自身での判断が難しい場合は、イエローハットに相談してください。

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定期的にメンテナンスを行う

　　　　

車を安全に長く使い続けるには、エンジンオイルの定期的なメンテナンスが欠かせません。
エンジンオイルの状態はオイルレベルゲージで確認できます。点検は、車のボンネットを開いたら固定用のボンネットステーで固定し、安全を確保してから行うようにしてください。次に、オイルレベルゲージを抜き、付着している油分をウエスで拭き取ります。付着しているエンジンオイルが透明感を持っていれば問題はありませんが、一部のエンジンオイルを除き黒く変色している場合は早めの点検・交換が必要です。
なお、点検は必ずエンジンを停止させた状態で作業してください。また、停車させてすぐはエンジンオイルが高温なため、火傷する危険性もあります。停車後はしばらく時間をおき、エンジンオイルが冷めてから作業を行ってください。

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水冷式

　　　　

水冷式はエンジンに冷却水を循環させることで冷却を行う方式であり、近年は水冷式を採用している車が最も多いです。冷却水によって吸収された熱は、ラジエーターを経由して空気中に放出されます。
水冷式は他の方式と比較して冷却効率が優れていることが特徴です。ただし、サーモスタットやクーリングファンなど多数のパーツを組み合わせて作られているため、メンテナンスに時間やコストが掛かってしまう傾向があります。

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空冷式

　　　　

空冷式はエンジンに外気を取り入れて冷却を行う方式であり、最もシンプルな冷却方式です。20世紀末ごろまでは空冷式エンジンを搭載した車が多くみられましたが、近年では水冷式の普及や排ガス規制などによって空冷式エンジンは非常に少なくなっています。
空冷式エンジンは修理コストを抑えやすく、メンテナンスが行いやすいといったメリットを備えています。一方で冷却性能が比較的不安定で、エンジン音が大きいことなどがデメリットです。

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油冷式

　　　　

油冷式は燃焼室の壁面やシリンダーなど、高温になる部分にエンジンオイルを散布して冷却を行う方式です。熱を吸収した後は、オイルクーラーによってエンジンオイルの冷却が行われるようになっています。
油冷式の冷却性能は安定しており、メンテナンスが行いやすいことが特徴です。しかし、水冷式と比較すると冷却性能は低くなります。
近年では排ガス規制によってエンジンに高い環境性能が要求されるようになり、水冷式が普及したこともあり油冷式を搭載した車は減少傾向にあります。

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冷却水の水量を点検する

　　　　

冷却水の残量を点検する際には、リザーバータンクの側面を見て冷却水の量を確認します。リザーバータンクはエンジン停止時に冷却水を集積するタンクで、ラジエーター付近にあることが多いです。冷却水が目盛りのLOWやMINより少ない場合は、エンジン冷却水を補充してください。
また、市販されている冷却水は赤色や緑色などに着色されている場合が多く、エンジンオイルやガソリンとの違いが分かりやすくなっています。もし車の底部から赤や緑などの液体が垂れていれば、ラジエーター本体やホースなどが破損して冷却水が漏出していることが考えられるため、すぐにお店へ点検・修理を依頼するようにしてください。

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エンジン冷却水を補充する

　　　　

エンジン冷却水の補充を行う際には、クーラント液という専用の液体を用いるようにしてください。クーラント液は水よりも凍りづらく、錆を防ぎやすいように調合されています。市販されているエンジン冷却水には、原液を直接投入できるタイプと水道水を混ぜて使用するタイプがあります。水道水を混ぜて使用する製品の場合、外気温に応じてエンジン冷却水と水道水の配合比率を調整する必要があります。
なお、エンジン冷却水が規定量より少なく、油温を下げるための応急処置として水道水を使用した場合は、凍結や錆などでエンジンが破損するリスクがあるため、早めにエンジン冷却水への交換を行う必要があります。
エンジン冷却水の交換作業は必ずエンジンを停止させた状態で実施するようにしてください。エンジン稼働時、エンジン冷却水が100℃以上になることがあり、冷めていないうちに作業すると火傷してしまう恐れがあります。
また、車によっては冷却水を通すパイプに空気が混入することがあるので、補充作業後に「エア抜き」という作業を実施してください。エア抜きとは、ラジエーターキャップを1度外してからエンジンを始動させる作業のことです。
エンジン冷却水を補充する際の細かい手順は車によって異なるので、メンテナンスノートや車の取扱説明書を確認してから作業を行ってください。

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