エンジンオイルの油膜とは？粘度との関係を詳しく解説！

エンジンオイルは、エンジン内にある各パーツに油膜を張り、保護する作用を備えています。油膜が失われてしまうと重大なトラブルを引き起こす恐れもあるため、エンジンオイルは定期的に交換する必要があります。このコラムでは、油膜が車の性能にどのような影響を与えるかを解説します。粘度と油膜との関係についても詳しく解説しているので、最後までご一読ください。

・潤滑作用
エンジンを構成するシャフトやシリンダーといったパーツを油膜で保護し、摩擦抵抗や熱などから各パーツを保護します。

・密封作用
ピストンリングとシリンダーの間に油膜を形成することで燃焼室の気密性を維持します。また、機密性を保つことはガソリンの燃焼効率を維持し、走行性能を長期的に維持することにも繋がります。

・冷却作用
燃焼や摩擦抵抗による熱を吸収し、エンジンの温度を一定範囲内に維持しオーバーヒートを防ぎます。エンジン内の熱を吸収したエンジンオイルはオイルパンに集積され、冷却された後に再びエンジン内を循環します。

・防錆作用
金属パーツで構成されるエンジンは、エンジン内外との温度差で発生する結露などに晒され続けるといずれは錆びてしまいます。また、燃焼ガスやブローバイガスも金属を腐食させる原因となります。そこで、エンジンオイルが油膜によってパーツを保護し、錆付きを防ぐ作用を担っているのです。

・清浄作用
スラッジやカーボンなどの汚れを吸着することで、エンジンをクリーンな状態に維持します。そのため、エンジンオイルは汚れが蓄積することで黒く変色し、劣化し少しずつ性能が低下してきます。

いずれの作用も、エンジンの性能を維持するうえで欠かせないものです。エンジンオイル交換を定期的に実施することで、各作用が低下してエンジンの故障や燃費が低下するといったトラブルを防ぐことができます。

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油膜と粘度の関係

　　　　

粘度が硬いエンジンオイルは、高温環境下でも潤滑作用を発揮しやすく、ピストンやシリンダーなどの部品摩耗を防げるのが特徴です。厚い油膜でしっかり保護するため、静粛性に優れているというメリットもあります。
一方、粘度が柔らかいエンジンオイルは油膜が薄く、低温環境下で安定した性能を発揮できるのが特徴です。ピストンやシリンダーなどに掛かる負荷が少ないことから、燃費や加速性能などを維持しやすくなります。
ただし、車に適しているエンジンオイルの粘度よりも硬すぎる場合は、エンジンがスムーズに動作しなくなり、燃費低下や走行性能低下といった問題が生じるリスクがあります。また、粘度が柔らかすぎる場合は、高温環境下の走行で潤滑作用が低下し、エンジンの焼き付きなどが発生することがあるので、基本は自動車メーカーが推奨している粘度範囲で、走行環境に適したエンジンオイルを使用することが大切となります。

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油膜切れに要注意

　　　　

エンジンオイルは継続的に使用することで熱や汚れを吸収し粘度が低下してきます。粘度が低下し、必要な油膜を作れなくなったエンジンオイルは油膜切れを発生させるリスクが高まります。油膜切れとは、エンジン内部の金属パーツがエンジンオイルでしっかりとコーティングされていない状態を指します。この状態でエンジンを稼働させてしまうと、ピストンとシリンダーが擦れ合ってしまい、パーツが傷ついてしまいます。また、摩擦抵抗が大きくなると、異音が発生するほか、最悪の場合は焼き付きを引き起こす恐れがあります。
したがって、安全かつ快適なドライブを楽しむには、定期的なエンジンオイル交換が欠かせません。
走行環境によって異なりますが、イエローハットがおすすめする交換時期の目安は、走行距離3,000km～5,000km毎、あるいは3ヶ月～6ヶ月のどちらか早いタイミングです。

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自動車メーカーが推奨する粘度を確認する

　　　　

自動車メーカーが推奨するエンジンオイルの粘度は、車の取扱説明書で確認できます。エンジンオイルの粘度はSAE粘度分類で表記されていることが多く、「0W-20」や「10W-30」といった形式で表されています。Wの前に表記された数字は対応できる低温環境の温度、後半の数字は高温環境下での粘度です。
ただし、エンジンの性能を維持するには、自動車メーカーが指定する粘度を踏まえたうえで、外気温や走行環境によって適切な粘度を使用することが大切です。たとえば、気温が氷点下になる場所では粘度が柔らかいエンジンオイルを用いた方が始動性は良く、スポーツ走行をする場合は粘度が硬いエンジンオイルの方が保護性能に優れています。
ご自身で車に合った粘度が判断できない場合は、お店に相談してください。

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求める性能に応じたベースオイルを選ぶ

　　　　

エンジンオイルの粘度を変えずに耐熱性や低温始動性などを高めたい場合は、ベースオイルの種類を変更することをおすすめします。ベースオイルには全合成油・部分合成油・鉱物油の3種類があり、基本性能や価格帯が異なります。
全合成油は、高度な精製によって原油に含まれる不純物を取り除くだけでなく、分子の大きさや形を揃えることで摩擦が生じにくくなっているため、高い潤滑性能を誇ります。流動性も高く低燃費性にも優れていますが、高品質ゆえに価格帯は高めに設定されています。
鉱物油は、原油を蒸留して生成されるエンジンオイルで、価格が最も安い点がメリットです。しかし、分子構造にばらつきがあり、熱による温度変化の影響を受けやすいうえに、酸化による劣化が進みやすいため、こまめなエンジンオイル交換が必要となります。
部分合成油は、鉱物油と全合成油を配合したベースオイルです。コストや性能の高さは3種類のうち中間程度で、鉱物油の弱点である耐酸性や低温始動性などを全合成油で補っています。

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洗浄分散剤

清浄分散剤は、エンジンを動かす過程で発生する汚れを取り除き、車の状態を維持する添加剤です。ガソリンの燃え残りであるスラッジを吸着してエンジンオイルに取り込み、細かい状態で分散させることでエンジン内部をクリーンな状態に保ちます。

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粘度指数向上剤

　　　　

粘度指数向上剤は、ポリマーやエステルなどが使用されていることが多く、高温環境下でエンジンオイルの粘度を維持しやすくするための添加剤です。粘度指数向上剤は高温に晒されるとカーボン化しやすいので、こまめにエンジンオイル交換を行うのが難しい場合は、良質な粘度指数向上剤を少量添加しているエンジンオイルを選んでください。

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流動点降下剤

　　　　

エンジンオイルに含まれているロウ（蝋）は、低温で結晶化する物質であり、結晶が大きくなると流動性を低下させる原因になります。流動点降下剤を配合することで、低温環境下でエンジンオイルが固まることを防ぎ、エンジンの動作効率を維持できます。

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酸化防止剤

　　　　

酸化防止剤は、熱や空気、金属粉などによってエンジンオイルが酸化することを防ぐ添加剤です。酸化しやすい鉱物油に配合されることが多く、スラッジが生成されることを抑える作用も備えています。
ただし、配合の比率が大きいと粘度が硬くなり、燃費が低下する原因になるため、走行環境に応じて適切な配合比率の酸化防止剤を選んでください。

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消泡剤

　　　　

エンジン内を循環しているエンジンオイルは、常にかき混ぜられている状態のため気泡が発生してしまいます。気泡部分には油分がない状態となるため、エンジンオイルの酸化が進行したり、冷却作用が低下したり、油膜切れを起こしたりする原因となります。
そこで、消泡剤を配合することで発生した気泡を消し、油膜切れや酸化による劣化の進行を防いでいます。

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