スポーツ走行用エンジンオイルの特徴とは？ベースオイルの種類などについても解説

スポーツ走行では車を酷使するため、専用パーツの準備やメンテナンスが必要となり、エンジンオイルについてもスポーツ走行に適したエンジンオイルが存在します。
では、一般的なエンジンオイルとスポーツ走行用エンジンオイルにはどのような違いがあるのでしょうか。また、使われるベースオイルの種類などに違いがあるのでしょうか。
このコラムでは、スポーツ走行用エンジンオイルの特徴やメンテナンスのポイントについて解説していきます。

スポーツ走行用エンジンオイルの特徴

　　　　

スポーツ走行用エンジンオイルの特徴としては、高温時の潤滑性や耐摩耗性の向上、そして温度による油圧変動の少なさや油温の安定化が図られていることが挙げられます。高性能なエンジンがより高い出力が発揮できるようにチューンアップされることがあるため、使われるエンジンオイルにも環境や、エンジンに特化した性質が求められます。そのため、耐摩耗剤や清浄分散剤などの各種添加剤の調合により、エンジンの保護と性能の安定化が図られているのです。スポーツ走行中、エンジンは高速回転状態が続き、高温・高負荷状況に置かれます。この時、「せん断」によりエンジンオイルの粘度が低下すると、油膜切れが生じてしまい、最悪の場合エンジンの焼き付きに繋がる可能性があります。このような事態に陥るのを防ぐために、スポーツ走行用エンジンオイルでは高温・高負荷状況でも潤滑・密封作用が損なわれないよう、適度な粘度を保ったせん断安定性に優れているタイプを選ぶのが基本です。

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一般のエンジンオイルとの違い

　　　　

スポーツ走行はサーキットというクローズドな場所で行われるため、常用回転数からくる油圧や外気温による油温の条件が極めて限定された範囲内となります。そのため、スポーツ走行用エンジンオイルには、一般のエンジンオイルのように変動する気候条件や運転状況に広く対応できる性能は要求されません。
また、その時のコンディションに最もふさわしいものを選び都度交換していくことから、 長期安定性を考える必要もなく、酸化防止剤などは加えられていない場合が多いです。さらに、耐摩耗性についても、一般のエンジンオイルでは低速・低負荷時の性能が重視されるのに対して、スポーツ走行用では高速・高負荷時に優れるという特長があります。

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全合成油

　　　　

フルシンセティックとも呼ばれ、原油に含まれる不純物を極力排除した、100%化学合成による高純度のエンジンオイルです。低温始動性と高温時における耐熱性の高さによる酸化安定性を併せ持つなど、温度などの環境に左右されにくく、劣化に強いという特徴があります。高性能な分、値段設定は高めになりますが、ターボ車やスポーツ走行車のポテンシャルを存分に引き出す効果が期待できます。そのため、スポーツ走行では高温時の油膜切れの心配が少ない、全合成油が使用されることが多くなっています。

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部分合成油

　　　　

鉱物油の欠点である低温始動性や酸化安定性の低さを改善するために、全合成油がブレンドされているエンジンオイルです。長距離や高速走行の機会が多い車に向いています。高回転・高負荷時のエンジン保護性能と燃費性能との両立が、全合成油よりもリーズナブルな価格で追求できるというメリットがあります。

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鉱物油

　　　　

原油を蒸留して精製した、昔からよく使われているタイプのエンジンオイルです。価格が安い分、全合成油や部分合成油よりも低温始動性や酸化安定性、燃費性能に劣るものの、街乗りなどの比較的短距離・短時間でのドライブが多い車に向いており、ガスケットやシールに対する攻撃性の低さから、クラシックカーのエンジンオイルとして推奨されていることもあります。

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ドライサンプ方式

　　　　

ドライサンプ方式は、エンジンオイルがエンジン外に設けられたオイルタンクとの間を循環しながら潤滑していく仕組みです。エンジン各部を循環した後に自然落下したエンジンオイルはポンプでオイルタンクに戻され、さらに別のポンプを使って再びエンジンに送られます。
スポーツ走行をされる車では、ドライサンプ方式のエンジンを採用する場合があります。独立したオイルタンクがあればより多くの容量のエンジンオイルを確保でき、コーナリング時の片寄りによるエンジンオイル切れを防ぐことができます。また、オイルパンが要らないため、エンジンの小型化が実現します。さらに、エンジンオイルがエンジンの外を迂回・循環することで、冷却効率の向上も図れます。
このようなメリットがある一方で、オイルタンクだけでなく低圧・高圧用の2台のオイルポンプが必要になるので重量が増えてしまう、複雑な構造によりトラブルが起きやすくなるというデメリットがあります。

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ウェットサンプ方式

　　　　

ウェットサンプ方式は、エンジン内部を循環してきたエンジンオイルをエンジン下部に設けたオイルパンで回収し、オイルポンプを使って再度エンジン各所に送り出す仕組みです。
ウェットサンプ方式は、必要とするパーツが少なく構造が単純なため、メンテナンスに手間とコストがかからないという利点があります。また、エンジンオイル交換もシンプルな作業行程で実施できます。
反面、エンジン内に溜められるエンジンオイルが熱の影響を受けやすいために、こまめな点検・交換が必要になります。また、オイルパンを設置する分、エンジンが大きくなる点もデメリットです。
さらに、スポーツ走行などの激しい走行状況では、オイルパンに溜められているエンジンオイルの油面が波打ちを起こし、オイルポンプが吸い込み時に気泡やエア溜まりを混入させてしまう、「エア噛み」をしやすくなります。エア噛みにより必要となる流量や吐出圧力を確保できなくなると、オイルポンプの性能低下に繋がることがあるため注意が必要です。

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エンジン類

　　　　

走行前は、エンジンはもちろん、動力伝達装置であるパワートレインの点検も必要です。特に、エンジンオイル漏れが発生すると、自分だけでなく他の車を巻き込んでの事故に繋がる恐れがあります。下回りからエンジンオイルの漏れやにじみが起きていないかを点検してください。また、ファンベルトなどのベルト類にゆるみやひび割れが生じていないか、さらには排気ガス浄化処理の役割を担う触媒（キャタライザー）が熱害を起こしていないかについてもチェックしてください。エンジンについては、燃焼効率と耐久性とのバランスを考えながらの圧縮比調整をしておくと安心です。さらに、酷使されるトランスミッション・クラッチや動力伝達や挙動性能に関わるデファレンシャルギア・プロペラシャフトについても、スポーツ走行前の試走で正常に動作するか確認しておくことが大切です。

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ブレーキ

　　　　

ブレーキは安全な走行に関わるだけでなく、確実に動作できるよう、走行前の点検を実施しておくことが大切です。
そして、ブレーキローターについても、残量はもちろん、亀裂の有無を確かめます。ブレーキローターに少しでも劣化兆候がみられるのであれば、ブレーキパッドと同時交換を推奨します。

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タイヤ

　　　　

タイヤのグリップ性能と耐久性能とはトレードオフの関係にあります。レースで使われるグリップ力の強いタイヤは、普通のタイヤに比べて早く摩耗していくことが避けられません。タイヤの点検では、まず、摩耗度や亀裂などの傷の有無をチェックします。そして、タイヤの空気圧を測定・調整しておくことも大切です。スポーツ走行では、たった0.1kgf/cm2違うだけでタイムが大きく変わってくると言われます。また、空気圧不足はパンクやバーストにも繋がる恐れがあるため、入念に調整しておいてください。
ホイールナットのトルクチェックも大切です。規定トルクを守ることで、ホイールを固定するハブボルトのネジ山が潰れたり、折れたりする危険を防ぐことができます。

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